トヨタ生産方式
- 作者: 大野耐一
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 1978/05/01
- メディア: 単行本
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トヨタ生産方式の二本柱は「ジャスト・イン・タイム」と「自働化」
ジャスト・イン・タイムは、よく知られるように「必要なときにそのつど、必要なだけ」部品が生産ラインに到着するということ。
自働化(自動化ではなく)は、不良品を察知したら停止する仕組みを機械にビルトインすること。豊田佐吉氏の開発した豊田自働織機は、経糸が切れたり横糸がなくなったりしたら停止するようになっていた。これが元。
この「ジャスト・イン・タイム」と「自働化」が、トヨタ生産方式の大Principleですね。
これを具現化する「あんどん」「かんばん」「不良品があったらラインストップ」というような有名なPracticeがいろいろあるわけです。
で、Valueは?
この本には、トヨタ生産方式で実現しようとするValueについても、多くのページが割かれています。
一つは、豊田佐吉・豊田喜一郎という企業としてのトヨタの祖の思想。こちらは、「日本人としての気概、誇りを見せる」「価値あるものを安価に提供する」というところに重きがおかれているようです。
もう一つ、大きく取り上げられるのが(意外にも)ヘンリー・フォード一世の説く「効率」の思想。特に印象深いところを引用すると、
われわれが思いわずらうべきことは、人間労働のムダについてである。(中略)
ムダについての私の理論は、物それ自体から、物を生産する労働へとさかのぼる。労働の価値全部に対して支払いができるようにするために、労働の価値全部を利用したいというのがわれわれの希望である。(中略)われわれは、人間の時間をムダにしないようにするために、物質をその極限まで使うことを望んでいる。
大野氏のヘンリー・フォードに対するリスペクトは相当なもので、
もしもアメリカの自動車王ヘンリー・フォード一世がいま生きていたら、私どもが取り組んできたトヨタ生産方式と同じことをやったにちがいないと思う。
とまで言っています。
作りすぎのムダ
トヨタ生産方式の眼目はムダの徹底分析・徹底排除にあるわけですが、もっとも忌むべきムダとして「作りすぎのムダ」があげられています。作りすぎるために、在庫そのもの、おいておくための倉庫、在庫管理のための労力といった二次三次のムダが発生してしまい、しかもそれが役に立つように見えてしまうので始末が悪い。