リーダーの資質

参議院選挙、終わりましたね。
結果の是非はともかく、印象に残ったブログ記事があります。
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痛みを伴う改革、小泉はこれを国民に受け入れさせるために一つのトリックを使った。自分と国民との共通の敵を仮想し、辛い道だが一緒にがんばっていこうと、国民を自分との運命共同体に組み込んだ。

一方安倍は小泉の改革路線は継承したが、トリックの部分は継承しなかった。国民は小泉改革を支持した。自分はそれをさらに進めるのだから小泉と同じぐらい支持されるだろう。一時的に支持率が下がることはあっても自分のやっていることが理解されれば、必ず国民は最後には支持してくれる、と考えた。

安倍は運が悪い、政策とは関係のない部分で叩かれている、という人もいるが、俺はやはり安倍に原因があると思う。小泉改革のもっとも大事な点である「国民感情」のコントロールを軽視し、改革を進めさえすれば国民はついてきてくれると考えたのだから。痛みに耐えられるのは理屈ではない。一緒に敵と戦っているという一体感、すなわち感情だ。安倍のどこか他人行儀なスタイルは「理屈としては正しいかも」とは思っても、共感を呼び起こさない。

「政策で実績を上げても、感情がついてこなければ支持されない」という指摘。

自民党員(職員?)として選挙に参加された「さくら」さんはもっと激越。当事者としての本音でしょう。
http://lovelysakura.way-nifty.com/sakura/2007/07/post_88e4.html

安倍さんの発言がいつも一方的に聞こえるのは、「そうは思わない」人々に対して言葉を尽くして理解してもらおうというマインドが決定的に不足しているのではないか、そう思わざるを得ないのです。

ネットの論評をざざっと見ても、安部政権の政策が悪いとか、施政方針が受け入れられなかったという意見は少なそうですね。そう思ってる人もいると思いますが。どっちかというと、「実績は上げてきたと思うけど、ねえ」っていう空気を感じます。
今朝のTVでは、「安部さんはリーダーになるには早すぎた」という海外の論評も紹介されていましたが、やはりこれはリーダーとしての能力に欠けるところがあるのかな、と思います。

企業で言えば、社長が「ビジョンは掲げた、経営計画も立てた、客も取ってきた、さあ仕事しろ」と言ったところで会社は動かない。ソフトウェアの開発チームでも、能力のあるリーダーが目標を立て、計画を作り、さあはじめよう、といったところで、チームメンバーの頭と気持ちがついてこなければ本当にゴールには近づかない。

私も開発チームのリーダーをしてたとき、自分のしたいことや会社の方針、お客さんからの期待なんかを集めてチームのビジョンとして掲げたことがあります。当初は、それだけで理解してもらえたと思った。でも、やっぱり伝わっていない。言葉を変えたり、やって見せたり、意見を聞いたりしながら、ようやくそれらしいものが共有できて、チームとして動けるようになった。「あれ、伝わってないのかも」「なんか俺、ずれちゃってるみたい」っていう違和感を感じて、いちいち修正しにいくプロセスが、たかだか数十人の組織でも必要でした。

あと、最近はミッションステートメントブーム、クレドブームなのか、そういう文面を掲げてる会社さんもよく見るのですが、正直どこまで共有されているのか、そのビジョンを実感あるものにするためにどれだけの労力が払われているのか疑問に思ってしまう場合もあります。

ちょっと飛躍してるかもしれないけど、リーダーの資質というか役割のひとつとして、自分のビジョンを手を変え品を変えて伝えてみんなの頭と気持ちを作っていく、というのがあると思うのですよ。率いている組織の大小はあれ。
今後、リーダーを引き受けてしまうかもしれない時に備えて、記録しておくことにします。

追記
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/72005
小泉さんは怖すぎ。規格外で参考にならない。